リフォームや修繕など住宅を改修するときに市町村が助成金を支給する制度。住民のみなさんに喜ばれ、バツグンの経済効果が実証されている「住宅改修助成制度」をすべての市町村に広げましょう。
京丹波町 稲本昇さん
母ちゃんのため制度あるうちに...
「工事費の10%・10万円限度」の京丹波町住宅リフォーム助成制度は、山村での生活に活気を与えています。
京丹波町上大久保(旧・瑞穂町)の工事現場では、てきぱき働く細見貞夫さん(船井組合員)ら職人さんたちに、傍らから暖かい視線を送る稲本昇さん(64)の姿が。
外部トイレを母屋に移設 川と環境のことも考えた
工事を依頼した稲本さんは「母(ますゑさん・87)が外便所で不自由していたから、母屋にトイレを移設して、浄化槽も入れることにした。川も汚れんようになるし、環境のことも考えた。助成金のことは細見さんが教えてくれた。短期間の制度だと知り『今のうちに』と考え、依頼しました」と話します。
京丹波町 松村洋子さん
古くなったフローリングを新調「本当に喜んでいます」
同町井尻で築44年の住宅でくらす松村四郎さん(68)方は、台所と広縁の古くなった合板床をヒノキの無垢材に張り替えました。工事費は30万円。
みんなが喜ぶ制度。ぜひ継続を
奥さんの洋子さんは「すごくいい。本当に喜んでいます」とニコニコ。「大工の細見さんが『こんな制度がありますよ』制度を教えてくれたので。国産材の活用に関心があったし、仕上がりも大満足。地元で仕事が回ることで、みんなが喜ぶ制度。ぜひ続けてほしいですね」と話します。
京丹波町・小松理さん(クリーニング店経営)
明るくなったキッチンに、気分も上々の小松さん夫婦。中央の人は施工した中本さんです。
与謝野町でクリーニング店を営む小松理さん(43)は、同町のリフォーム助成制度を活用して自宅を改装したひとり。今回は風呂場・台所など「水回り」を重点にリフォームしました。
施工店は、近所の中本祐之さんに依頼。小松さんは「(中本さんは)家に不具合はないかと、いつも声をかけてくれる親切な人で、ふだんから仲良くさせていただいていました」と話します。
2009年7月、町の職員さんから「今度、新しく助成制度ができました。家を直すならチャンスですよ」と教えてもらい、かねてから『工事を頼むならこの人』と決めていた中本さんにさっそく電話。築30年の自宅の一部改修を依頼しました。
◆銀色に光るキッチンに気分も晴ればれ
取り替えたシステムキッチンは銀色に光り輝き、ダイニングも明るいフローリングになりました。
「台所を早くリフォームしたいと思っていたんで、助成金は『超・ラッキー』って感じ」と奥さんの真有美さんもニコニコ。
理さんは「台所がきれいになって、家族の表情が明るくなった。家のリフォームがこんなにも家族の気分を晴ればれとさせてくれるとは...」と話しています。
「次の機会があったら、隣の部屋をつなげて、広々としたLDKにしたい」と真有美さん。
◆リフォーム番組に関心 住宅の改修は家族の成長にあわせて
この工事の後、テレビのリフォーム番組をよく観るようになり「職人さんの技術や、くらしやすさを追求した住まいの仕様などに関心が向くようになった」と話す理さん。
「どこの家庭も、資金を貯めて、少しずつ家を直すのが当たり前。そういうことを応援してくれているのが、町のリフォーム助成制度だと思います。これからも、ぜひ継続してほしい」と話します。
●赤色は現在制度があるところ
●青色は過去制度があったところ
「住宅改修助成制度」とは、地域住民の住宅改修(リフォーム)に際して、地元の業者がその工事を行う場合、自治体が一定の補助金を出す制度です。京都府内では、網野町、京田辺市、加悦町、大江町、木津町、福知山市、京丹後市、与謝野町で導入の実績があります。
京建労などがたくさんの府民のみなさんにご協力をいただいて運動をすすめてきた『住宅改修への助成制度』は、2002年5 月から丹後の網野町で始まり、その後、多くの自治体に広がりました。
国土交通省が基本方針を定めた「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」案が、2008年12月に衆議院国土交通委員会、参議院同委員会で可決され、成立しました。この法律は、「長期優良住宅」の普及・促進のため、行政が認定した住宅に金融メリットをつけるなどしたもので、福田元首相が打ち出した、いわゆる「200年住宅構想」の根幹となるものです。
修正された法律の内容には、伝統的木造住宅や国産材利用、人材養成および資質の向上、木材使用に関する伝統的技術を含む技術の研究開発・成果の普及、景観配慮・地域における居住環境維持・向上などが盛り込まれました。
京建労は、従来から耐震改修助成制度の拡充、住宅改修助成制度の実現に向けた取り組みを行ってきました。私たちが要求している制度は、まさに、国が住生活基本法で打ち出した「フローからストック」への転換に寄与します。既存住宅も改修・補強を行ってこそ、長く住み続けるという政策方向と合致します。
しかし、京都府などは「個人資産に税金は投入できない」という、使い古された理由で、この間、住宅改修助成制度の実現を拒んできました。むしろ、これこそ、国が推し進めようとする「長期優良住宅普及促進」の政策に背を向けるものです。
実際に、地域住民の「もう少し助成額を上げてもらえれば改修するのだが」「身の回りの、小規模な改修も助成の対象にしてほしい」など、制度の創設、拡充を求める根強い声があります。(組合が行った、住宅改修意識調査アンケートより)
住民の住宅改善要求をつかみ、私たち京建労が要求してきた、『住宅改修助成制度の創設』運動の再構築を図らなければなりません。